【メディアデザイン論2013】東日本大震災篇2:テレビメディア
「避難時にワンセグを見る余裕はなかった」という被災者の調査結果が多い。むろん,携帯電話基地局の状態に関わらず,ワンセグは受信できる。だから,ワンセグ視聴が習慣化されていないからか,ワンセグ利用に思いが至らなかったからという理由は考えられる。
停電でテレビに頼れない被災者が多い中で,初期報道で何ができたか/できなかったのかを後付けの理屈で論じるのは容易だ。「大津波警報への想像力が足りなかったのではないか」「(少なくとも被災地の県域放送は)『高台に逃げろ』を徹底すべきだったのではないか」などだ。NHK以外の在仙台の放送局が,ヘリコプターを喪失したことが,初動段階での「鳥瞰図」の提供(報道局員や視聴者に対して)に失敗してしまったことは大きい。津波到達時刻が早い地域に一目散に飛び,映像を送信してれば,被害状況は少しは変わっていたかもしれない。
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- 発売日: 2011/10/14
- メディア: DVD
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- 作者: TBC東北放送
- 出版社/メーカー: 竹書房
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こうしたDVDをみると,視聴者ではなく,放送局関係者が実に広いエリアで津波の映像を記録しているのがわかる。各地に支局・通信員・契約記者などを配置していたからだ。衛星利用の映像通信も一般化してきている。放送局関係者には優先的に利用を促進していくことも,災害時の迅速な情報収集に役立つのではないか。
- 作者: 丹羽美之,藤田真文
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
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- メディア: 単行本
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