メディア戦隊レッドテイラーNEO

静岡大学情報学部・赤尾晃一の教育・研究に関するブログ。2017年10月から新装開店。

【コミュニケーションメディア史2013】5回:中間文化と流行歌の誕生

日本でいつ“流行歌”と呼べるものが誕生したかは諸説ある。

(0-1) 松井須磨子『カチューシャの唄』,大正3(1914)年

作詞は島村抱月相馬御風,作曲は中山晋平。劇団芸術座の第3回公演『復活』の劇中歌として,主演女優の松井須磨子などが歌唱した。『カチューシャの唄』は蓄音機とレコードの売上げを「万単位」にしたと言えるが,「レコードに吹き込まれた歌の始まり」として捉えるのが妥当だろう。


松井須磨子「カチューシャの唄」 - YouTube

(0-2)  船頭小唄

1921(大正10)年に新民謡「枯れすすき」として野口雨情が作詞,中山晋平が作曲した。添田唖蝉坊は「俺は東京の焼け出され 同じお前も焼け出され どうせ二人はこの世では 何も持たない焼け出され」と替え歌を作った。大正末期から昭和初期にかけては,全国各地で「新民謡」が作られた。静岡県の『ちゃっきり節』(詞:北原白秋/曲:町田嘉章)も新民謡である。


森繁久彌 船頭小唄 1974 - YouTube

 

(1) 添田唖蝉坊 明治~大正年間

基底文化の「都々逸」「小唄」「民謡」など三味線が伴奏するお座敷芸,川上音二郎の政治風刺歌(演歌)「オッペケペー」など大道芸的要素を取り入れ,街道演歌(艶歌)を完成させた。

添田唖蝉坊・ラッパ節 /土取利行 Rappa bushi/Toshi Tsuchitori - YouTube

(2) 音楽学校出身の歌手たち
佐藤千夜子が『波浮の港』『東京行進曲』などでヒットした。

佐藤千夜子 東京行進曲 昭和4年の東京銀座 浅草 - YouTube

(3) 古賀政男の〈古賀メロディ〉
藤山一郎(音楽学校卒)らとのコンビにより,日本の流行歌の基礎を固めたとされる。

藤山一郎 酒は涙か溜息か 1973 - YouTube

(4) 芸妓・芸人出身者
芸妓出身の小唄勝太郎が歌った『島の娘』が日本で初めて50万枚のヒットとなった。29歳だが,芸妓だけに“アイドル的人気”を獲得したと言える。

島の娘/小唄勝太郎 - YouTube

(5) ジャズ(西洋的大衆音楽)

ジャズとは欧米的大衆音楽の音階の総称。日本的音階とは無縁で,新たな時代を思わせた。

君恋し 二村定一 - YouTube